風営法とはどのような法律か
ホールの営業は、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」によって風俗営業の一業種として定められています。この法律は、風営法や風適法、風営適正化法などいくつかの略称がありますが、ここでは風営法と略します。
風営法は、パチンコ・パチスロやゲームセンター、雀荘のような射幸性のある娯楽を提供する業種や、スナックやキャバレーなどといった接待飲食店のほか、いわゆるフーゾク店(性風俗店)を規定しています。この法律によって規定された業種は、一般的に成人を対象として営業されるものであり、未成年者の健全な育成の障害にならないようにするとともに、地域の善良な風俗と正常な風俗環境を保持するよう、営業許可や店舗の所在地、構造設備、営業時間など様々な面から規制がかけられています。
また風営法は、法律だけで構成されているわけではありません。関連法令として、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行令」(以下、施行令)のほか、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令」(同、内閣府令)、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行規則」(同、施行規則)、「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」(同、遊技機規則)、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律等の解釈運用基準」(同、運用基準)があります。法律には大まかなルールしか書かれておらず、施行令が営業できる地域や営業時間の制限等を規制し、内閣府令は各種の提出書類の規定がされ、施行規則が詳細なルールを決めているほか、運用基準によって法令で定めきれない部分をより具体的に示しています。また遊技機規則では、ホールで営業に使用してよい遊技機(パチンコ機、パチスロ機など)の性能が定めています。
さらには、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(同、施行条例)や風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律施行条例(同、条例施行規則)が都道府県ごとに設けられています。これによって、地域ごとの裁量を風営法は認めています。
ホール営業をどのように規制しているか
では、こうした法律や規則によって、ホールには具体的にどのような規定がなされているのでしょうか。まず、営業許可に関しては営業者と営業所の2つの側面から規定され、営業所の所在地を管轄する各都道府県公安委員会が許可を下ろすかどうかを決定しています。営業者が麻薬中毒者や暴力団関係者などに該当していないか、営業所の所在地が施行条例で定められている地域内にあるか、営業所の構造・設備が法律施行規則で定められている基準に適合しているかなどが審査され、問題がない場合に許可が下ります。なお、営業所の設備には遊技機が含まれています。さらには、客に提供する賞品の提供方法等によっては射幸心を著しくそそる恐れがあることから、その提供方法に関する基準なども設けられています。
営業開始後も営業者が守らなくてはならない規定がいくつもあります。法令には営業者の順守事項という項目があり、構造及び設備を維持することのほか、営業時間や照度、騒音及び振動、広告及び宣伝などが定められています。営業者が営業所の増改築や設備の変更(遊技機の入れ替えを含む)をしようとする際にも、各都道府県公安委員会の承認を受けなければならないとされています(ただし、軽微な変更は除く)。営業所に設置する遊技機についても定められており、その基本は「著しく客の射幸心をそそるおそれのある遊技機を設置し、営業してはならない」というものです。前述した遊技機規則によって、出玉性能、技術介入性、不正改造対策などのポイントで遊技機メーカーによる新機種開発のルールが決められています。
このように、ホールの営業は風営法並びに関連法令や条例によって定められた、様々な基準の範囲内で営まれている大人の娯楽なのです。