ホール営業は、プレイヤーがパチンコ・パチスロで遊び、その遊技の結果に応じて賞品を提供する営業ですが、その提供賞品についても決まりがあります。ホールにおいては、法令によって、「市場価格が消費税別で9,600円を超えないもの」という大前提のほかにも、「客が一般に日常生活の用に供すると考えられる物品のうちから、できる限り多くの種類のものを取りそろえておくこと」が義務づけられています。つまり、多種多様な賞品の中からプレイヤーが自由に賞品を選ぶことができる環境を整える必要があるため、プレイヤーの多様な要望に応える賞品を幅広く用意していなければなりません。
そのため業界団体では、平成18年12月に「ぱちんこ営業に係る賞品の取りそろえの充実に関する決議」を策定し、賞品の取りそろえの遵守を約束しました。その内容は、賞品の種類を最低500種類以上(設置台数が500台を超える営業所の場合、その台数と同じ数の種類以上)とし、さらに、そのうち200種類は物品自体を陳列することなどを定めました。加えて、家庭用品・衣料品・食料品・教養娯楽用品・嗜好品・身の回り品・その他の7品目の中から少なくとも5品目以上を取り揃えることを決めました。
現在ではタバコや食料品、電気製品、化粧品などのほかに、かつては保存方法の問題で置くことが難しかったケーキやスイーツといった冷蔵・冷凍対応の食品を用意するホールが増えています。郊外のホールでは、コンビニエンスストアや小規模のスーパーマーケットに劣らない品揃えでプレイヤーの再来店に繋げているところも増えています。しかし、賞品の取りそろえが業界全体で徹底されているかといえば、賞品を充分に取り揃えていないホールもまだまだ少なくないのが現状です。
警察庁は平成25年10月、「ぱちんこ営業に係る賞品の取りそろえの充実の更なる推進について」という通知を業界団体に出し、そうしたホールに注意を促しています。警察庁としては、極めて偏った賞品がホールを通じて流通することが業界の健全化を阻害する要因となることから賞品の充実について指導を徹底している、といえるでしょう。