ホールが開店できるまで

ホールが新規に出店できる土地については、法令や条例で病院や学校、住宅集合地などの周辺には出店できない決まりがあります。その条件をクリアしていて、なおかつ商売が見込める好立地を選定する必要があるのですが、そこから実際の開店にこぎつけるまでには多くの段階を踏まなければなりません。

まず、不動産物件については、その商圏調査や競合店調査を行うのが一般的です。商圏内にある競合店の数やその状況を調べて商売の見込みを立てる調査で、交通量や人口といった基本事項のほかにも、遊技機1台あたりの人口なども算出し、激戦区なのかどうか、激戦区でなければどうして今までホールが少なかったのかなど、かなり詳細な調査を行います。その結果として、この場所でホール営業を行うには、どういう規模でどういう営業を行うかがベストなのかのイメージが出来上がります。

出店地を確保できたら次に店舗の建設に入りますが、建物、駐車場とは別に、ホール営業に欠かせない設備は多種多様です。主役となるパチンコ機やパチスロ機以外にも、玉やメダルの補給設備や島設備、呼び出しランプ、遊技機情報の公開機器、玉メダルの貸機、計数機、監視カメラシステム、賞品POSシステム、管理コンピュータなど、ざっと挙げただけでもこれだけの設備が必要です。競合店との差別化を図るための分煙ボードや空気清浄機、携帯充電器といった各種アイテムから、休憩所の様々な什器や設備といったサービス向上目的の設備、さらには提供する賞品の仕入れも欠かせません。これらの準備段階における初期投資の総額は数十億円にのぼることもあります。

店舗のハード面を揃えただけでは営業できないのも当然のことです。開店に向けてスタッフの募集、接客教育などの事前準備などのソフト面の体制も整えなければなりません。そして何よりも、開店に向けて必要なのは、その場所でその法人や個人がホールの営業を行なってもよいとする公安委員会の許可です。所在地を管轄する警察署に営業許可の申請する内容には、店舗の構造や設備、営業方法などを記載する必要があるほか、従業員名簿の備え付け義務もあることから、ハード、ソフトの体制が整ってからでなければ申請できない仕組みになっています。