雇用規模と納税額について

ホールでの雇用者数は約23万人

パチンコ産業の雇用規模については、総務省の経済センサス活動調査で約22.9万人(2016年)という数字が公表されています。また、業界団体の類推値としては22.4万人(2019年3月)という数字もあります。こうした数字を元に、ホール経営を第三者の立場で監視・調査している組織がホールの雇用規模の推移をまとめたものがあります。

その他の業界の就労人口

2016年の各業界就労人口
2016年の各業界就労人口

この数字は、総合スーパーマーケットの約43.7万人には及ばないものの、百貨店の約7.5万人や自動車主要10社の約21.2万人を上回ります。また、店舗数がホールの約5倍もあるコンビニエンスストアの就労人口は約77.1万人と、ホールの3.4倍に留まっています。ホールは売上規模だけでなく雇用についても大きな位置づけにあって、我が国において多くの雇用機会を生み出していることが分かります。

また、経済産業省の特定サービス産業動態統計調査をもとに、1営業所当たりの従業者数を算出すると、2018年は約27.1人でした。うち、正社員が12.1人、パートやアルバイトが15.0人という内訳です。ホール営業は装置産業の側面がある一方で、人的サービスも欠かせない業態であることが窺われます。

多くの新卒者を採用する企業も

ホール業界は約23万人もの直接雇用だけでなく、ホール経営に関連する分野(遊技機メーカーや周辺設備機器メーカー、販売業者、景品卸など)でも、多くの雇用機会を生み出しています。特に、株式公開を果たしている大手遊技機メーカーや設備機器メーカーは学生からの人気も高く、企業の方でも大量採用に踏み切るところも多くなっています。新卒者の採用については、ホールの売上規模や企業の事業展開によって様々ですが、多店舗展開している企業では200人以上を採用する企業もあります。特に全国的にチェーン展開している大手ホール企業では、ピーク時には500名以上の新卒者を採用していました。

この新卒採用に伴って、労働環境や教育研修の改善を進める企業も増えてきています。かつては、重労働かつ長時間労働のために離職率が高いといわれていましたが、福利厚生や研修制度も充実し、幹部候補育成や自己育成プログラムの強化などによって、雇用環境の改善に取り組んでいるところも多くなっています。

ホールの納税額

ホールの納税額ですが、業界団体の調査によると、2019年の調査では年間で904億円の法人税を納税したと推計しています。この推計は、アンケートで回答のあったホール経営企業の数値を遊技機1台あたりに換算、それを警察庁が集計した全国の遊技機設置台数で掛け合わせて算出したものです。

国税庁がまとめているデータによると、ホールは法人税の不正発見割合、1件あたりの不正脱漏金額ともに、毎年上位にあがる業種であることも示されています。ただし、近年はワースト順位を下げるなど、改善の兆しが窺われるほか、これを各地の国税局ごとでみると、発見割合、不正脱漏金額ともにワーストに入っていない地域も多くあります。この地域差がどういう理由によるものかは、はっきりとわかりませんが、いずれにせよ各地の業界団体は定期的に、税に関する研修会やセミナーを開催するなどして、適正納税を強く呼びかけています。