パチンコ産業には、ホールやパチンコ機・パチスロ機を製造する遊技機メーカーのほかに、多くの周辺機器メーカーや関連業種があります。
あるシンクタンクでは、遊技機と周辺設備機器を含めた市場規模を2017年度で8,574億円と算出しており、前年度から大幅に減少しているものの、それでも非常に大きな市場を形成していることを窺わせています。
ホール営業を支える様々な周辺機器の中で、直接手に触れるものとしては、遊技機に備え付けられている玉・メダル貸出ユニットや、呼び出しランプ、両替機などが代表的な周辺機器として挙げられます。このうち呼び出しランプは、高機能化が著しく、大当り情報や遊技機ごとのゲーム性を大画面液晶でビジュアルに表示するものもあり、ホールおよび遊技機の情報公開端末としての役割も果たしています。
一方、直接目にすることはないのですが、ホール内の基幹設備としては、各パチンコ機に玉を補給するシステム、さらには遊技機の稼動データ等を集積・分析するホールコンピュータなどがあります。かつての玉補給はパチンコ機の裏側にいる女性従業員などによって手作業で行われていましたが、昭和30年代に自動化システムが開発されたことで、大幅な省力化が図られ、営業の近代化に寄与しました。補給システムに組み込む形で、汚れた玉の洗浄なども自動化されています。またホールコンピュータでは、遊技機ごとの稼動状況がリアルタイムで把握でき、会員管理システムと連動した顧客データの分析などは、ホールの営業戦略立案に活用されています。
他にも、多くの周辺機器がホールには存在します。賞品交換のデータを取り扱うPOSシステム、セキュリティを担う監視カメラシステム、さらに台情報の公開機器や快適な遊技環境を創出する空調関連機器などもその一つです。また、島設備に組み込まれたタバコの吸殻自動回収装置、硬貨や紙幣の搬送装置、玉やメダルはもとより、遊技イスをはじめとした各種什器など、数え上げるとキリがないぐらいのアイテムが存在します。
関連業種という点で言えば、遊技機に組み込まれる各種電子部品の供給企業では、遊技機市場が停滞すると業績が著しく悪化するなど、大きな影響を与えています。さらに遊技機の関係では、アニメや映画・ドラマ、マンガなどをモチーフにするコンテンツ系の遊技機における版権市場も大きなものになっています。アニメでは、その制作段階で遊技機メーカーが参画するケースもあるほか、タイアップした遊技機が市場でヒットしたことで、そのコンテンツがあらためて注目を集めるケースもありました。
ホール側の景況感の良し悪しが大きく影響を与えるものもあります。新聞の折込チラシや店内外のPOPを作成する広告会社、ホールスタッフを派遣する人材派遣会社、ホールの設計・施工を担う企業、そして食品や雑貨といった賞品の供給企業など、ホール営業と密接な関係にある業種が多々あり、裾野が広い産業になっています。