ホール営業のビジネスモデル

ホール営業に限らず、当然のことながら売上高と利益額は違うのですが、売上高だけをみて儲かる商売だと思われがちなのがパチンコ店の営業のようです。貸玉(メダル)料である売上高からプレイヤーに提供した賞品の仕入額を差し引いた金額、つまり粗利益が占める割合は時代とともに変化していますが、現在は平均で15%いったところでしょうか。最終的な利益は、そこから遊技機の購入費やスタッフの人件費、さらには電気代や家賃(賃貸の場合)などを差し引いたものになります。

ホールの粗利益は、賞品の原価率(売価に対する仕入額の割合)に加えて、「割数」などといった業界特有の指標で管理されています。割数は簡単にいえば、貸玉(メダル)料に対してどれくらい賞品が出たかを数値化したものです。この割数を上げ下げすることで利益と集客のバランスをとるのがホール営業の基本形で、あまり安い価格で物を売ると儲けがなくなり、逆に必要以上に高い価格で売るとそもそも客が来ないといった、あらゆる商売がそうであるように、ホール営業も適正な粗利率でなければ商売が成り立ちません。

草創期のパチンコはいわゆる「どんぶり勘定」で、いくらの現金が入って、いくら分の賞品を出したので、利益はいくら、といった店舗全体での計算だったようですが、時代とともにこれをもっと詳しく管理したほうがいいのではないかということで、今では玉単価(1玉あたりいくらの売上げにつながったかの指標)や玉粗利(1玉あたりの粗利額)といった細かいデータも使われています。また、遊技機もどういうスペックのどういうコンテンツの機種が、どういう客層に受けているのかといった、細かい分析が行われています。さらには、競合店の集客状況はどうか、遊技機の稼動状況の全国平均はどうなっているかなど、複数の指標を組み合わせての舵取りが行われています。

ただし、最近では遊技機の流行り廃りが激しく、かなり頻繁に遊技機を入れ替えしなければ集客につながらないという現象が顕著で、ホール営業の悩みの種になっています。ホール営業は、こうした遊技機に費やすコストに限らず、人件費や電気代など各種の運営コストと、前述の割数が自店に見合った効果的なバランスになっているかどうかを、日々模索する営業といってもいいでしょう。