ホール駐車場における児童や乳幼児の車内放置事故は、業界の大きな課題の一つです。これは、子どもを持つ親が遊技に熱中するあまり、子どもを車内に放置し、最悪の場合、熱中症などによって死亡事故につながるというものです。ブームが加熱した1990年代半ば頃には、こうした事例が各地で起こっていると一般の新聞・雑誌、テレビなどで報道され、業界に対するバッシングが起きました。
一連のバッシング受けた業界では、業界挙げての車内放置撲滅キャンペーンを展開することにしました。お子様連れのお客様のホール駐車場への立入りを禁止するとともに、ホールスタッフらが定期的に駐車場を見回り、車内に子どもが取り残されていないかの点検を行うという活動です。
こうした各地の取り組みによって、例えば平成21年度は全国で42件、58名もの子どもを救出しました。その後も、毎年数十件の未然防止事例が報告されるなど活動の成果が示されています。しかし、これだけでは乳幼児の車内放置事故は撲滅できませんでした。平成10年以降、全国で27件の事故が発生し、平成21年から平成25年にかけても5年連続で発生するなど、依然として、子どもを車内に放置したまま、保護者が遊技に興じるケースが多いことが窺われる状況が続きました。
このためホールの業界団体では、より細かな防止対策を策定し、乳幼児を含む子どもの車内放置ゼロを目指して活動しています。その対策は、「1時間に1回以上の駐車場の巡回と店内放送の実施」「最悪の場合は窓ガラスを割る等の人命救助優先を第一とする」「店舗責任者および全従業員へ防止対策の周知」「ホール・駐車場にて『お子様連れでの来店禁止』の表示」「新聞折込チラシなど広告宣伝での告知」といったものとなっています。この取り組みは、毎年ゴールデンウィークから10月までと年末年始を強化月間とし、7月と8月は特別強化月間に指定されています。
駐車場の巡回など各種対策の手を緩めると、再び事故が増えることも考えられます。子どもを持つ親の責任が問われるのは当然ですが、ホールで起こる悲劇が繰り返されないよう、業界の側にも地道な活動の継続が求められています。